2014年09月11日

一生懸命に休め

松明塾の受験生は、8月28日から9月14日まで「夏休み」です。

もちろん28日から学校が始まってますから通常日程の流れで言えばむしろ夏休みが
終わったタイミングなのですが、受験勉強の中身で言えば今は完全に夏休み。

生徒が見せに来る週間計画を見て、「ちょっと勉強の量が多すぎるな」と感じれば
バッサバッサと勉強を削っていきます。

この「夏休み期間」は思いっきりサボることが大切。

今までは週間計画の達成と長時間の勉強を教え込まれた生徒たちにとって、
「サボれ」という指示はそれなりに戸惑うようで(笑)、うまくサボれない生徒の
様子などは見ててちょっと面白いものがあります。

もちろん、そんな指示を昔から出していたわけではありません。

きっかけはある生徒の「失敗」にありました。

その子は浪人生で、早稲田を目指していました。

浪人生にとって(もちろん現役生にとっても)、9月というのはとても特別な月です。

講師にとっても、一番「覚悟」が必要とされるのが9月です。

もはや当事者にしかわからない感覚かもしれませんが、9月になると受験生の多くは一気に受験本番が近づいた感覚に襲われます。

「夏休みというビッグイベントが終わった」

「この2学期が終わったらいよいよセンター本番だ」

「本番までの残り時間が半年を切った」

理由は様々ですが、いずれにせよ、「本番」という感覚が今までよりも遥かにリアルに感じられる。

それが9月というタイミングです。

だから、色々な面で生徒が精神的に不安定になります。大きくは2つ。

1) 間に合わない不安が大きすぎて志望校を落とそうするケース

2) 間に合わない不安が大きすぎて必要以上に結果を求めてしまうケース


どちらも本番をリアルに感じることから来る不安に起因します。

その感覚は浪人生であれば現役とは比べものになりません。

先述の生徒は、(2)のケースでした。

当時の僕は、その生徒の不安を消すことが肝要と思い結果を出すためのプランを提示しました。

ええ。グングン伸びましたよ。11月半ばには第一志望の早稲田の法学部の過去問で合格点に達しました。

お互い「これなら大丈夫だな」と笑顔を交わしました。

ただ、悲劇はそこから始まります。

そこから先、その生徒の点数は下降の一途をたどりました。

年末年始、直前期と点数は落ち続け、迎えた本番は過去最低の点数を取りました。

自己採点の結果、3割ちょいしか合ってなかった。

結果はもちろん不合格です。


あんときは苦しかったなぁ。


本当にどうしていいのかわからなかった。

目の前であがき続ける生徒を見て、あれこれと改善策を打とうとするんだけど、何の効果も得られなかった。

結果が出ない。だから焦って勉強する。また過去問を解く。けど点数は上がらない。

このループの中で精神的にも随分やられてしまって。

一方的にサンドバッグにされる選手をセコンドから見つめ続けるしかない。

でもタオルを投げるわけにもいかない。

ラウンドの合間にいろんな指示を出すんだけど、やっぱり試合が始まると一方的に殴られていく。

そんな気分でした。

じゃあどうしたらよかったんだろう。

受験の後にも消えない後悔と答えの出ない問を抱えているときに、1冊の本に出会います。

そこに書かれていた一節。

部下に忍耐力の限界を超す努力をさせることをためらうな。ただし、その後、必ず休ませよ。

直感的に「これだ!」と思いました。

すごい簡単な話だったんですね。

ラストスパートは、2度はかけられないのです。

不安の余りにラストスパートに近いペースアップをして一度はトップに躍り出た。

でもゴールはまだまだ先。

最後の最後で、周りもどんどんラストスパートをかけてくる。

負けじと自分も懸命に手足を動かすのだけど、その意思に疲れ切った体がついてこない。

そんな、気持ちだけは前に行こう・行かねばと粘るのに、体がついてこないもどかしさのなかで必死にあがく様子が頭の中に浮かんできました。

いや〜泣いたね。東生駒の駅前のマクドナルドで。

申し訳なくて。

ずっと泣いてたよ。

なぜあのときに俺は「覚悟」を決めることができなかったんだろう。

生徒は不安に決まってるんだよね。そりゃそうだ。正直言えば講師だって不安なんだから。

こういうのは、言ってみれば「ドミノ倒し」みたいなもんで、誰かが「倒れないドミノ」に
なって踏ん張らないと、こういう結果になっちゃうんだよね。

あのとき、「間に合わないかもしれない」とか「俺も結果が出た方が安心だしな」とか考えずに、

「絶対間に合うから焦るな。その焦りはもうちょっと後まで取っておけ」

という一言が言えたら。

「結果」で安心させるんじゃなくて、「将来への希望」を見せることで、いや見せらんなくても講師が「断言してあげる」ことを通して生徒を安心させられていたら。

あれは勝てる勝負だったんじゃないか。

そんな反省をし続けています。

だから9月は講師にとって「覚悟」が必要な時期です。

1) 間に合わない不安が大きすぎて志望校を落とそうするケース

2) 間に合わない不安が大きすぎて必要以上に結果を求めてしまうケース

どちらも根本にあるのは将来への「不安」です。だからといって、そこから安易に見える解決策は必ずしも正解じゃない。

安易に志望校を下げたところで、決して安心には繋がりません。

1〜2ヶ月後、

「せっかく志望校を下げたのにその下げた志望校にも間に合わなかったら…」

というより大きな不安が待っています。

今、必要以上の結果を求めては本来スパートをかけるべきところで体がついてこない未来が待っています。

ただし、こういった安易な正解に飛びつかないためには、誰かが「覚悟」を決めないといけない。

もちろん、生徒が覚悟を自分で決めるのが一番いい。

でも、それができなかったら。

講師が「倒れないドミノ」にならないといけない。

こういっちゃなんだけど、夏休みに本当に頑張った生徒に「サボれ」っていうの、めちゃめちゃ怖いんだぜ(苦笑)。

2週間も休ませたら、この夏に頑張った意味がなくなっちゃうんじゃないか。

って不安に思わないはずないじゃん。

でも、んなことは全員思ってるんだよね。

だから誰かが「覚悟」を決めて、「休め」っていわないといけない。

そして、「夏休み」が終わったら、再びちゃんと走りださなきゃいけない。

だから僕はこの2週間、必死に不安と戦っています。

これを読んでいる生徒もきっと不安でしょう。

大丈夫。

そう思えるくらいに、君らは夏に頑張った。

残り時間も十分に残っている。

やらないことに不安を感じることに、自分の成長を感じよう。

残り4日間。一生懸命にサボろう。

そんで9月15日から、いよいよ後半戦スタート。

本番が近づいてきたことをヒリヒリと感じながら、今やるべきことを積み重ねよう。

posted by たいまつ at 00:16| Comment(0) | セルフマネジメント